Artisans & More

2025/09/06 08:58

「赤身という美学」

鹿肉の赤身は、他のどの肉とも違う。
派手さや脂の濃厚さではなく、静かな気品と張りつめた美しさで勝負している。
千葉県産の天然鹿を使った「鹿野菜ソーセージ」も、その哲学に忠実だ。
色合いは深く、質感は端正。
ごぼうの土の香りが寄り添い、
野菜の柔らかい甘みが、赤身の輪郭をよりくっきりと浮かび上がらせる。
これは、“強さ”ではなく“芯のあるやさしさ”で満たされたソーセージだ。

滋味のレイヤーを噛みしめる

ひと口噛めば、肉の繊維が静かにほどけていく。
引き締まった鹿肉のコク、ごぼうの香り、ハーブの響き。
どれも主張しすぎず、ゆるやかなレイヤーとなって舌の上に重なる。
脂は軽く、喉を滑り抜けるように消えていく。
だが、その後に残る余韻は長い。
ほんのりとした温かさが、口の中だけでなく、どこか気持ちの輪郭までもやわらかくする。
この滋味深さこそが、“野生肉”の中に眠っていた可能性だ。


つなぎを使わない、という覚悟

この鹿野菜生ソーセージには、つなぎが使われていない。
つまり、素材そのものの力と構成だけで成り立っているということだ。
無添加に近い味付けと、繊細な香辛料の使い方。
焼けばハーブがふわりと立ち、肉の香りとごぼうの香ばしさが重なって立ち上がる。
それは、野菜とジビエの“信頼関係”が生んだ香り。
焼き上がるのを待つその時間までもが、
どこか特別で、心が整うようなひとときになる。


「自然を食べている」と思える一本

このソーセージを食べ終えたとき、
豪勢なごちそうを食べたときのような満腹感ではなく、
「きちんと身体に届いた」という静かな納得感が残る。
ジビエだから珍しいのではなく、
野菜入りだからヘルシーというわけでもない。
これはただ、上質な素材をまっすぐに仕立てた一品だ。
日々の食卓に、余白のように置いておきたい。
派手さはないが、毎朝、森の空気を吸うようなソーセージがあってもいい。

Artisan NIPPONのこだわり

木更津の山で出会った命を、ただ“おいしい”で終わらせない。
その肉にふさわしいかたちを探し続ける職人・岡田修が、技と時間と対話を重ねて、ようやく差し出す一皿。
私たちArtisan NIPPONは、その皿に宿った風土と手仕事の温度を、言葉とともにお届けします。
ここにあるのは、ただの食材の話ではなく、生きものと人が静かに向き合うための物語です。

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