2025/07/17 22:09
冷蔵庫を開けて、いつも通り豚肉を手に取る。
でも、その日ふと思ったのです。
——猪肉って、どんな味だったっけ?
似ている。確かに。見た目も、用途も。
でも、似ているからこそ見落とされていた“違い”があるのかもしれない。
そんな気がして、猪肉を手に入れてみたんです。

たんぱく質も脂質も、だいたい同じ。でも、なんか違う。
まず基本から見てみよう。
猪肉のたんぱく質は100gあたり18.8g。豚肉は17.1g。
脂質は猪肉19.8g、豚肉19.2g。……ね、ほぼ一緒。
ここまでは「双子の兄弟です」と言われても納得しそうなレベルです。
でも。
その下に潜んでいた数字が、僕の目を覚まさせた。
鉄分、4倍。ビタミンB12、3倍。なんだこの“底力”。
猪肉は鉄分2.5mg、豚肉は0.6mg。
ビタミンB12に至っては、猪1.7μg、豚0.5μg。
どちらも生命の維持に欠かせない栄養素ですが、
この差、ちょっとした“野生のメッセージ”に思えてきます。
たぶん、森の中で育ったからでしょう。
走る、掘る、跳ぶ、逃げる。
自然の中で鍛え抜かれた体は、まるで野のジムの産物。
だからこそ、その肉には“使われた力”が宿っている。
……そう考えると、猪肉ってちょっと、かっこよくないですか?
「猪肉を食べると元気になる気がする」の正体
あの滋味深さ。噛みしめるごとにじわっと広がる力強い味。
塩と胡椒だけでいい。
猪肉は、自分の声で語る肉だから。
もちろんスポーツ栄養学的に云々……なんて話をするつもりはありません。
でも、体が欲しがる味って、やっぱり理由があるんだと思う。
野生に戻るわけじゃないけど、
ちょっとだけ、自分のなかの“動物”が目覚めるような気がする。
猪肉は、いま、ここにある“贅沢”だ
猪肉は、冷蔵庫の常連ではないかもしれない。
でも一度食べてみると、「この感じ、また欲しい」ってなる。
それはたぶん、味だけじゃなく、
鉄分やビタミンが教えてくれる“身体の声”なのかもしれません。
似て非なる、もうひとつの肉。
今日のごはんに、猪肉という選択肢を加えてみてはいかがでしょう。