Artisans & More

2025/10/15 10:00

最初に目が惹かれるのは、赤でも艶でもなく白だ。
粉砂糖みたいな外皮が、皿の上でやけに落ち着いている。
派手さはないのに、視線を動かすのが惜しくなる。
この白は飾りではない。水分を外へ押し出し、うま味を内にとどめる仕組みだ。
時間がたつほど、音を立てずに味が濃くなる。
静かなのに、仕事は大胆——そこが好きだ。


乾かすのではなく、整える

サラミづくりは単なる乾燥ではない。
外側に白カビを育てて、表面をやわらかく“ふた”する。
すると乾きが急がず、中と外の進み方がそろう。
急がないぶん、香りが角張らない。
だからこの一本は、無添加 加工肉でありながら、余計な匂いに頼らずに済む。
噛めば、野生肉の味が素直に前へ出てくる。


赤と白のモザイクに、地図がある

断面は方言の集合だ。
鹿の鉄っぽい芯、猪のやわらかな脂、刻んだ香草の微かな鼻歌。
粗挽きの粒が大きいところは道がまっすぐで、細かいところは路地が入り組む。
一枚ずつ、地図を食べ進める感じがする。
“ジビエ ソーセージ”より語り口が低いのに、あとから効いてくるのはこのモザイクの説得力だ。


食べ方のわがままを、歓迎する

冷蔵庫から出して10分待つ。これだけで香りは一段階ひらく。
薄く切れば、酸味とナッツのニュアンスが前へ。
厚く切れば、噛むたびに赤身の鼓動が返ってくる。
添え物は、塩気の少ないオリーブ、軽い蜂蜜、殻を割ったクルミ。
ワインもいいが、熱めの緑茶も相性がいい。
“正しい”食べ方より、あなたの機嫌を優先してほしい。

産地は味のアクセントになる

原料は鹿と猪。たとえば木更津の個体は、脂が線香花火みたいに静かに消える。
別の地域だと、赤身がもう少し主張してくる。
「地方食材 おすすめ」という言い方は便利だけれど、要するに声色の違いのことだ。
その日の気分に合う声を選ぶために、選択肢がある。
オンラインなら、鹿肉 通販のページを開いて、赤身と脂のバランスで選ぶのが早い。

白は“軽さ”ではない、濃さだ

白い見た目にだまされてはいけない。
この色は、味をうすめた結果ではなく、旨味を圧縮したサインだ。
切り口に置いた一秒と、舌に乗せた三秒で分かる。
しょっぱさが先頭を走らず、香りが歩幅を合わせてくる。
品があるのに、やせていない。
それが、このサラミの品格だと思う。

派手に主張しないけれど、食卓の空気を少し大人にする。
白は静かに濃くなる。
今夜は、その逆説を三枚ぶん。ナイフを温めて、薄く、気持ちは厚く。

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