Artisans & More

2026/02/18 00:00

なんだろう。
流行って、だいたい“あとから思い出すとちょっと恥ずかしい顔”をしてる。
タピオカとか、ナタデココとか、僕の黒歴史フォルダにしれっと入ってるやつ。
で、ジビエもね、確かに一時期、なんか流行ったよね。2013年ぐらい。わかる。

流行りやすいっすよね、ジビエ。
サステナブルとか、ヘルシーとか、SDGsとか。めっちゃわかりやすい。
「牛はCO2が…」みたいな話も、スライド1枚で語れちゃう。
で、ジビエがいろんな人に食べられるってことは、そのおいしさが伝わるってことだから——それはそれで嬉しい。いいこと。

……でもね。
流行が去った後って、どうなっちゃうんだっけ。

流行って、不自然なんだよね

ここ、僕の偏見も混ざるんだけど、流行ってやっぱり不自然なんだよね。
自然の食べ物って、人が「食べたい!」って思ったらめちゃくちゃいっぱい採れて、
「もういいや」って思ったら、急に採れなくていい——みたいなことに、本来対応できない。

だって自然は、SNSのトレンド欄を見てないから。
山は「今週バズってるから増産しとくわ」とか言わない。
鹿も猪も、「今、ジビエソーセージが流行ってるから脂のノリ上げとく」なんてしない。
(言ってくれたら最高だけど。)

だから、流行とジビエの組み合わせって、ときどき印象が悪い。
“自然のリズム”を、人間側の勝手な波で揺らしちゃう感じがする。

「語りやすい言葉」と「残る言葉」

流行に乗ってくる言葉って、たくさんある。
たとえば、ジビエ、ソーセージ、無添加、SDGs、ヘルシー、鉄分——わかる、強い。検索にも強い。鹿肉通販とか、地方食材おすすめとか、口に出すだけでそれっぽくなる。

でもね。ここが面白いところで。
意外とジビエの現場で続けてる人たち——加工処理施設の人とか、猟師さんとか——あんまりそういう軽い言葉を使わないんだよね。

彼らがよく話すのは、もっと地味で、でも逃げ場がない言葉。

「温度」
「時間」
「血抜き」
「獣道の匂い」
「刃が入る感触」
「この個体は、こういう性格だった」みたいなやつ

なんだろう、あれ。
“説明のための言葉”じゃなくて、生き残るための言葉なんだよね。
流行のワードが、名刺だとしたら。
あの人たちの言葉は、手のひらのマメとか、作業着のシミとか、そういう類のやつ。

そして僕は、そこにジビエの本質がある気がしてる。
キレイな正論より、泥のついた哲学。
その方が、うまい。

続けた人にだけ残る味がある

流行が去ったあと、残るものって少ない。
流行って、言葉だけ置いていくことが多いから。

でも、続けた人には残る。
残るのは、評価でも流行でもなくて、**味の“奥行き”**みたいなもの。
同じ無添加の加工肉でも、続けた人の手つきには“積み重ねの味”がある。
噛んだときに、山の冷気みたいな香りがスッと抜けて、
「うまい」の前に、「あ、この人、ずっとやってるな」って思っちゃう。

そういうのを食べると、こっちの感想もズルくなる。
「おいしい」じゃ足りなくて、
「この人、好きでやってんなあ」って言いたくなる。

——ね、結局そこなんだよ。
流行は追うものじゃない。
追わずに続けた人のところにだけ、残る味が置いてある。

最後に、ひとつだけ。
ジビエって語りたくなる食材だけど、語りすぎると薄くなる。
だから僕は最近、いちばん最初にこう言うことにしてる。

「ジビエ、うまい。」

それでいい。そこから先は、続けた人の言葉に任せればいい。
流行より、山の時間の方が、だいたい正しいから。

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